≪練習試合≫ 対 愛県 (2017.11.11 愛県G)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
愛県 1 0 0 0 4 0 0 1 4 10 10 2
名大医 0 0 1 3 0 0 1 1 0 6 13 4

三重医水:渡辺(4)、西(2)-村田

名大医:金谷(3)、左合(1)、溝口(1)、萬徳(1)、下田(3)-伊藤(6)、宮島(3)

 

一塁打:小野島2、高橋1、岩瀬2、安部3、梅村、萬徳、山崎、林

二塁打:山崎

『モグラは穴を掘って太陽を探している。

時に地上へたどり着くが、太陽を見た途端、目は光を失う。』

アレハンドロ・ホドロフスキー

 

寿司侍こと、私、数井俊介は回転寿司の地下で、自転車を漕いでベルトコンベア回すことを生業にしております。営業時間中はずっと重いペダルを漕ぎ、給料は廃棄の寿司を食べさせてもらえるのみです。完全に労働基準法違反なのですが、私は「上を見ても疲れるばかり、日々食べていけるだけで十分」という、情けない性格の持ち主です。自転車を漕いで運動するのも嫌いではありませんし、寿司だって好き、ガリだって食べ放題。「人生、これでもそれほど悪くないかな」とまで考えていた次第です。

しかし、そんな矢先、私は恥ずかしながら、板前さんの娘に、恋を、、、してしまったのです。歳は20も離れています。自分の娘だっておかしくありません。ですが、こんな私とお嬢さんではあまりに身分違い、一番高い絵皿のように高嶺の花です。しかし、お嬢さんは、汗だくでペダルを漕ぐ私に、いつも優しく微笑みかけてくれるのでございます。その人懐っこい笑顔が罪なこと。思わずペダルを頑張って漕ぎ過ぎて、お客さんに、

「ベルコン速いよ!何やってんの!」

と、怒られる始末。

 

 ある日、久しぶりに、野球の試合ができた興奮からか、矢も楯もたまらず板前さんに、

「娘さんをください!」

と、土下座をしてしまったのですが、勿論激しく怒られました。

「回転寿司の歯車に過ぎないお前が、俺の娘に惚れたの何のって、どういう了見なんでい!」

と、危うくこの仕事まで失いかける始末。フロアに額を擦り付け謝り、どうにかその場は納めてもらったのでございます。

 

 お嬢さんはそんな話を耳にしてすらしていないのか、今日もお寿司をおちょぼ口で食べながら、こんな私に微笑みかけてくれるのでございます。ですから私も、いつもより大きな声で店内放送の曲を高らかに歌い上げるのでございます。

「寿司食いねぇ、寿司食いねぇ、寿司、、、食いねぇ、、、」

と。